日本一現実的なディズニー夜話第7回:香港を夜を彩る“魔法”
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日本一現実的なディズニー夜話
第7回:香港を夜を彩る“魔法”

2014.12.25

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「枯れた技術の水平思考」??そんな言葉、エンジニアの皆さんならばきっとご存じかと思います。これは任天堂で活躍された横井軍平さんの言葉で、新技術をいきなり使うのではなく、これまで活用済みのテクニックを組み合わせ、新たな体験を作り出すといった意味を指します。2014年11月、香港ディズニーランドでまさにこの「枯れた技術の水平思考」を体感したできごとがありましたので、今回はそれをレポートしましょう。(宮田 健

■ これまでにない“まぶしさ”の夜のパレード「Disney Paint the Night」

2014年10月、香港ディズニーランドに新たな夜のパレード「Disney Paint the Night」がスタートしました。このパレードは香港ディズニーランドにおいては初めての夜間パレードで、ダンサーやフロート(山車)すべてにLED光源を使うなど、最新の技術が使われております。あまりに鮮やかすぎて目に痛いほどの光が、洪水のように飛び込んできます。

映画「カーズ」のセクションでは、すだれ状の光源を手前から奥に複数列に並べ、ドットパターンながら縦横だけでなく奥行きのある立体的な映像を見せるなど、ディズニーパークにおいて世界最先端の表現手法を取り入れており、早くも大人気のパレードです。香港ディズニーランドというと「ガラガラでなにもないんでしょ?」という初期の印象だけしか覚えていない人も、これを見たらびっくりするでしょう。

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LED光源が鮮やかな夜のパレード「Disney Paint the Night」

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LED光源だけでなく、巨大なモニターも活用

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ドットパターンをすだれ状に配置して、奥行きのある立体映像を実現

そして、このパレードの目玉は「ミッキーのマジックペイントブラシ」と呼ばれる、あるアイテムの存在。パレードは途中2回ストップし、3分程度のショーが行われます。この時に活躍するアイテムが、二つのボタンを持つマジカルペイントブラシです。

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ミッキーのマジックペイントブラシ

まずはこのボタンの役割を紹介しましょう。一つ目のボタンは、色のパターンを買えるもの。カラフルに点滅したり、青い色に光らせたりできます。そしてもう一つのボタンが、その色とパターンを「塗る」ためのもの。パレードのショーモードでは、マジカルペイントブラシを持つゲストに、ダンサーがなにやら指示をしています。自分の好きな色のパターンを選んで、ボタンを押して「塗る」と、なんとダンサーのコスチュームを、自分の選んだ色のパターンに塗ることができるのです。この仕組みが、パレードを通じてダンサーとコミュニケーションを取るきっかけになっており、子どもがマジックペイントブラシを振っているのを見ているととても和みました。

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ショーモードでは積極的にダンサーがコミュニケーションしてくれる!

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ペイントボタンを押してもらって、ポーズ

世界のディズニーパークにおいても、このようにパレードに能動的に参加するというものはここ香港にしかありません。これまでも東京ディズニーランドの「マジカルドリームライト」のように、パレードに合わせて光るというようなインタラクティブな仕組みはありましたが、香港に登場したこの仕組みは、さらにもう一歩、体験価値を上げた内容になっていて驚きました。

■ パレードだけでなく、ショップに置かれた小物にも魔法が

実はこのマジックペイントブラシの魔法、パレード以外にも使えます。香港ディズニーランド内のいくつかのショップには、きらきらと光るミッキーマークが隠れています。そこにこの、マジックペイントブラシをかざし、塗る(ボタンを押す)と……。

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とあるショップにある、ミニー版モナリザこと「ミニリザ」

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ペイントブラシをかざすと……絵画が音とともに動く!

マジックペイントブラシをかざすと、なんと絵画の中のミニーマウスがまばたきしたり、背後に鳥が飛んだりと動きまくるのです。園内には数カ所、このようなスポットがあるのですが、ぱっと見はモニターとは思えないので、ほとんどの人が気付かず通り抜けてしまいます。この魔法を手にしたゲストだけが分かる、ちょっとした隠れスポットなのですね。魔法を使うと周りのゲストも「なにこれ!?」と驚くので、ぜひ皆さんも体験してみてください。

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このマークが目印

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実はこの真ん中の絵画も“魔法対応”。周りは誰も気付いていませんでした

■ 魔法の正体は意外とローテク?

では、エンジニアらしくこの魔法の正体をチェックしてみましょう。マジックペイントブラシの絵筆部分には、私たちにはなじみ深い、とあるものがついていました。この形状は、よく「リモコン」でみるもの。おそらくこのデバイスは、無線LANやBluetoothといった高度なものではなく、単なる赤外線通信をしているだけ、といえるでしょう。

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魔法の出るところは意外とローテクっぽい?

魔法を作り出すその技術はリモコンと一緒、と言ってしまうと身も蓋もありませんが、これこそが「枯れた技術の水平思考」なのだろうと思います。ものすごい技術を使い、高いチップやデバイスで実現したとしても、高価すぎては意味がないのです。このマジックペイントブラシは168香港ドル(約2500円)で購入できるので、お土産としてもちょうどいい価格帯。このあたりの技術的な割り切りも興味深いです。

■ 香港版は壮大な「テスト」?

そしてこのパレードには、一つ興味深い「噂」があります。2015年はディズニーにとって、ロサンゼルスにある本家ディズニーランドが60周年となる記念すべき年。2015年の春からスタートする60周年記念イベント「Diamond Celebration」において、このパレードがほぼそのまま、本家ディズニーランドにも登場するといわれています。
本家ディズニーランド版「Disney Paint the Night」はその名前も内容もまだ未発表ですが、噂では東京ディズニーランドで過去行われていたパレードのフロートが再利用されるという話や、大ヒットした映画「アナと雪の女王」も一つのフロートとして用意されるという話もでています。

ディズニーのテーマパークのはじまりの地に最先端の技術が投入される前に、一番コンパクトな香港で、最新ながら「枯れた」技術が使われたというのは、大変興味深いですね。

原稿:宮田健(みやた たけし)
主にネットワークやセキュリティを中心とした、エンタープライズITに関する情報を追うフリーのライター。
IT以外にも旅行やエンターテイメントなども広くカバーし、趣味と仕事の境界をどこまであいまいにできるか挑戦中。
http://dpost.jp/about/

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