日本一現実的なディズニー夜話第4回:腕にまいた「MagicBand」で魔法が現実になる
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日本一現実的なディズニー夜話
第4回:腕にまいた「MagicBand」で魔法が現実になる

2014.07.01

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前回、ウォルト・ディズニー・ワールドにはファストパスがなくなり、デジタルな情報「FastPass+」に置き換えられたお話をしました。取得はWebやスマートフォンで行いますが、実際に使うにはどうしたらいいのでしょうか。そこには、ディズニーが既に実用化しているウェアラブルデバイス「MagicBand」が重要な役割を果たします。
宮田 健

■ディズニーのウェアラブルデバイス「MagicBand」とは?

ウォルト・ディズニー・ワールドの直営ホテルに泊まっても、もはや「鍵」や「カードキー」はありません。その代わりに渡されるのは、この世界でのカギとなるデバイス「MagicBand」です。これはルームキーであり、入園チケットであり、FastPass+であり、クレジットカードであり、かつ、あなたをあなたと認識するものです。

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これが魔法の鍵となる「MagicBand」。

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きれいな化粧箱に入っています。

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事前に登録すれば、裏面には自分の名前も刻印されます。

ウォルト・ディズニー・ワールドにはファストパスがない、と書きましたが、もう1つなくなったものがあります。それは「入園ゲート」。これまでターンスタイルと呼ばれていた入園ゲートは、いまやこのようにオープンなものに変わっています。

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入園ゲートはこんなにオープンに

入園時は腕に巻いたMagicBandをかざし、指紋認証を行います。この2つをクリアすれば、ランプが緑色に光ります。

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入園OK。従来のカード型チケットも使えます。

アトラクションのFastPass+ゲートにも、同じようなセンサーが付いています。時間が来たら、ここで認証すればOKです。なにかお土産を買うときにも、レジには同じセンサーがあり、ピッとかざせばそれで支払いが完了します(支払時にはレジにあるテンキーにPINコードを入力します)。

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センサーにあるテンキーからPINコードを入力することで支払いも可能。
バンドを巻いていれば財布を持つことなく楽しめます。

もうカメラも必要なくなるかもしれません。ウォルト・ディズニー・ワールドのテーマパークには「PhotoPass」というサービスがあり、パーク内には多くのカメラマンがいます。その人たちに声をかけると、無料で写真撮影してくれるのです。撮影が終わると、カメラマンはMagicBandをスキャンします。後日、Web上で写真をダウンロードしたり、有料でパネルに印刷できます。

有料サービスである「Disney Memory Maker」を購入すると、スプラッシュ・マウンテンやタワー・オブ・テラーなど、一部のアトラクションではライドに乗っているところを写真撮影してくれるのですが、MagicBandを付けていれば、この写真も自動であなたに紐付けられるようになります。

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フォトスポットにはプロのカメラマンがいて、気軽に写真を撮ってくれます。

■ミッキーはあなたの名前と誕生日を知っている?!

このMagicBand、正体は単なる「RFID」チップです。RFIDチップというと、日本では「おサイフケータイ」などでおなじみのものですね。ディズニーはこれをバンド型にして、ウェアラブルデバイスとして実用化しました。

MagicBandが持つ情報は単にID番号だけで、この腕輪の中に個人情報が入っているわけではありません。FastPass+を取得したアカウントが、MagicBandのIDと紐付いて初めて意味を持つようになります。ネットの世界とリアル世界とが、これで結びつきました。ディズニーはMagicBandを通じ、Webサーバーにある個人情報を確認しているわけです。

ディズニーはホテルの予約時に、その人の名前や誕生日、来た目的(結婚、家族の記念日など)を登録させます。この情報があれば、アトラクション内であなたの名前が表示したり、ミッキーが「今日は誕生日だね、おめでとう!」と言ってくれるようになるかもしれません。ディズニーはこれらの仕組みを総合して「MyMagic+」と読んでいます。まさに、魔法ですね。

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MyMagic+のガイドも日本語化されていました。

MagicBandはRFタグを使った無線通信を行っています。RFタグには近距離での通信のみが可能なパッシブタグと、数メートル離れた状態でも読み取れるアクティブタグがあり、MagicBandはその両方の機能を持っています。例えばホテルの駐車場に入るときは長距離通信で確認が完了するため、わざわざバンドをかざすことなく入場が可能でした。この長距離通信を活用すると、パーク内で人がどのように行動したのか、どこか混雑しているかなどをリアルタイムに解析する、ビッグデータ的な活用も可能になります。

このようなことを聞くと、プライバシーはどうなっているのか気になる方も多いでしょう。ウォルト・ディズニー・ワールドでは、利用者には気付けないMagicBandで長距離の通信を望まない人のために、長距離通信で読み取られてしまうバンドの代わりに近距離通信しかできないカード型のRFタグも用意しています。また、MagicBandを紛失したときは、サーバーにある個人情報をMagicBandの固有番号を切り離し、各機能を利用不可にできます。

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MagicBandが個人情報をどのように取り扱っているかの注意書きが表示されている。
プライバシーポリシーへのリンクも。

■魔法のような体験が、世界のディズニーパークスで

MagicBandを中心とした、FastPass+の予約や個人情報との紐付けによる体験の仕組みを、ディズニーは「My Disney Experience」と呼んでいます。いまはウォルト・ディズニー・ワールドでの展開のみですが、ディズニー社でテーマパーク部門を統括するトム・スタッグス氏は、遠からず世界のテーマパークでの導入を検討している、というコメントをしています。おそらく、2015年末にオープンするといわれている上海ディズニーランドなどでもテストが行われるのではないかと筆者は考えています。

今はまだ単なるチケット、紙、鍵の置き換えに見えるMagicBandですが、今後このデバイスがテーマパークの体験を変える可能性があると考えています。

あなたのこれまでの行動をぴたりと当てる占い師との会話や、何も言っていないのにバースデーケーキが出てくるレストラン……。これまでは魔法としか表現できなかったようなことが、ウォルト・ディズニー・ワールドで体験できるかもしれません。

原稿:宮田健(みやた たけし)
主にネットワークやセキュリティを中心とした、エンタープライズITに関する情報を追うフリーのライター。
IT以外にも旅行やエンターテイメントなども広くカバーし、趣味と仕事の境界をどこまであいまいにできるか挑戦中。
http://dpost.jp/about/

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