スマートデバイス時代のアドテクノロジー領域の先駆者の座を勝ち得よ ~Dynalyst開発秘話~
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スマートデバイス時代のアドテクノロジー領域の先駆者の座を勝ち得よ ~Dynalyst開発秘話~

2014.05.22

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近年、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスのユーザーは増加の一途を辿り続け、企業のマーケティング活動におけるスマートフォン対応はもちろん、web広告のスマートデバイスへの最適化など、アドテクノロジーに対するニーズが急激に高まっている。そうした状況の中、業界の中で明確なアドバンテージを築くべく生み出されたのが、『Dynalyst』だ。スマートフォンに特化した国内初のダイナミックリターゲティング広告であり、サイバーエージェントグループのアドテクノロジー戦略の〈要〉を担うプロダクト。今回は、開発で主軸的な役割を担ったAdtech -STUDIO川瀬さんへのインタビューを通じ、『Dynalyst』の全貌に迫ってみることにしよう。
市川 昭彦

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根っからの物理学人間で、学部・大学院では9年間にわたってヒッグス粒子の研究に没頭し、博士号を取得しました。私が素粒子物理学の世界に飛び込んだ当初は未発見だったヒッグス粒子も、2012年にCERN(欧州合同原子核研究機関)の国際共同グループによってほぼ確定的なものが発見され(正式な発表は2013年3月※)ひとつの区切りを迎えようとしていました。そんな中でであったのがアドテクノロジーの世界。まだ生まれたばかりの技術であり、今ならば先駆者的にアドテクノロジーという新たな領域を切り拓いていける点に魅力を感じました。また、アドテクノロジーの領域では、データ分析の能力を持っている人が求められていると知り、これまで研究者として培ってきたスキルやスタンスを活かせる点も大きな魅力。そして何よりも「未知なるものを知りたい」という自分の中の探求心を強くくすぐられたことが決め手となり、サイバーエージェントグループの一員となりました。

※http://nk-kaken.jp/SuwaKoen/CERN/ヒッグス粒子ほぼ断定日本経済新聞.pdf

アドテク本部アドテクスタジオ 川瀬 英俊さん

■ スマートデバイス時代の新たなリターゲティング広告『Dynalyst』

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『Dynalyst』は、サイバーエージェントグループのアドテクノロジー領域を牽引するために2013年10月に設立された『AdtechSTUDIO』によって生み出されたプロダクトです。特徴は日本初のスマートデバイス特化型のダイナミックリターゲティング広告だという点。企業の商品情報とwebサイトでのユーザー行動情報を組み合わせ、それぞれのユーザーに対してパーソナライズドされたおすすめ商品をバナー広告でリアルタイムに配信することで、ユーザーには潜在的ニーズを含めたより高精度のレコメンド情報を、企業にはより戦略的かつ高効率なマーケティングツールを提供することができるようになります。

『Dynalyst』の開発では、従来のJavaやPHPではなく、新しい開発言語であるScalaを使っています。関数型言語とオブジェクト指向言語とのハイブリッド言語であり、Javaなどオブジェクト指向言語に比べより簡潔に記述できる点でコードの視認性や管理性が高く、コンパイラ言語でもあるため実行速度も速い。そしてなによりもAdtechSTUDIO自体が新しい技術を積極的に採り入れるマインドの強い集団であるため、この話題の関数型言語をチョイスしました。

■ 「餅は餅屋」的発想によるユニークな開発スタイル

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『Dynalyst』の開発がスタートしたのは2013年11月。プロダクトマネージャー(1名)をトップに、開発責任者(1名)、エンジニア(8名)というチーム編成にて開発にあたりました。ユニークなのはトップダウン式ではなく、エンジニアが構想段階から参加し、それぞれ意見を述べ合って基本設計、仕様策定、機能単位のモジュール設計、実装、テストすべてに関わっていること。また、実装の割り振りも、あらかじめ機能単位に担当者をアサインしていくのではなく、まずは開発ターゲット全体をいくつかのタスクに分け、その上で各タスクに優先順位を割り振り、「自分はここをやりたい」と各エンジニアが直訴して担当を決めていくチケット駆動型の開発スタイルを採りました。いわば「餅は餅屋」的な発想。エンジニアといってもデータ処理が得意であったり、DBとの接続部分が得意であったり、アルゴリズム開発が得意であったりとそれぞれ得手不得手がありますから、そこにピンポイントにハマる仕事を任せれば必然的に開発効率は上がりますし、なによりもエンジニアのモチベーションを高く維持することができる。結果としてわずか4ヶ月で『Dynalyst』をリリースすることができました。

■ 『Dynalyst』がアドテクノロジーの世界をどう変えていくか

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『Dynalyst』はダイナミックリターゲティング広告であり、ECサイトなどにおけるユーザーの行動の変化をリアルタイムに広告配信へ反映させる必要があります。当初は接続先のリクエストに対して指定時間以内にユーザーの評価を行ってレスポンスを返さなければならないという制約に苦戦したり、システム基盤やネットワークの負荷によって遅延が発生してしまったりといった問題が存在したのですが、当社にはDSPやSSP接続のノウハウが豊富にあり、そのスペシャリストもいたので、比較的早い段階でそうした問題を解決することができました。今後はロードバランシングの導入やロジックの見直しを突き詰め、レスポンスや精度面含め、より高い完成度を目指していくことになります。まだ『Dynalyst』プロジェクトは始まったばかりであり、私たち自身、この『Dynalyst』がアドテクノロジーの世界をどう変えていくのか楽しみでなりません。

原稿:市川 昭彦(いちかわ あきひこ)
エンジニアとして、産業ロボット制御や通信制御、ひずみゲージを用いた各種計測システム等、制御・計測系のソフトウェア開発業務に携わる。趣味としてワンチップマイコンを用いたプログラミングや、ユニバーサル基板を用いた電子回路製作などを嗜む。大のカレー好き。

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