
「勉強会に行ってみた!」第2回「GitHub勉強会」
このところよく開かれるIT勉強会。スキルアップのためには行った方がいいのかなと思いつつも、どんな雰囲気なのかわからなくて二の足を踏んでいるという人はいませんか? この記事は、実際に勉強会にお邪魔して「こんな雰囲気でしたよ!」と紹介するのが目的です。こんな感じなら行ってみようかな、みたいに思ってもらえたらうれしいです。(三土たつお)
二回目となる今回は、東京・竹橋で開かれた「みんなでGitHub勉強するにゃんっ!」にお邪魔しました。会場は株式会社マイナビの「マイナビルーム」、主催者は@IT 編集部の太田さんです。
勉強会の開始は火曜日の19時30分から。10分ほど前にお邪魔すると、会場には GitHub の垂れ幕があちこちに飾られて賑やかな雰囲気になっていました。
写真から気づくかもしれませんが、参加者の方が皆なぜか猫耳をつけています。垂れ幕にも描かれているとおり、GitHubにはoctocatという「猫耳にタコ足」のマスコットキャラクターがいます。そこで「猫だから猫耳かな(主催者の太田さん談)」という思いつきから、このようになったんだそうです。「勉強」という重い空気とは真逆の面白いアイデアですね。
この勉強会のもう1つの面白い特徴は、主催の太田さんも参加者とともに教わる立場だということです。ふつう主催者はそのテーマにすでに熟練していて参加者に教える立場のことが多いですが、今回の勉強会は、
GitHubってみんな使ってるけど、どう使えばいいのか知りたい!
という太田さんの気持ちが出発点になっています。なので壇上には「学ぶ人」の代表として太田さんも講師役の人と一緒に上がり、わからないことや知りたいことを適宜尋ねるという形で進められました。ではさっそく内容を見ていきましょう。
最初のセッションは吉岡さん(@hyoshiok)と太田さんによる「はじめてのGitHub」というテーマに基づくものです。GitやGitHubの特徴や歴史、考え方などを伝えるという内容でした。冒頭で太田さんが「バージョン管理システムって何ですか?」と基本的なことを尋ねると、吉岡さんも「そこからですか……!」と驚くという一幕がありました。自分がごく初心者の立場を代表することで、できるだけ分かりやすく進めたいという気持ちなのでしょう。
いまさらですが非常に簡単に説明をすると、Gitは分散型バージョン管理システムの一種、GitHubはそれを使った分散型の開発の支援サービスです。みんながプロジェクトのクローンを作って自由に開発し、すごいものができたらそれを本家に取り込んでもらうようなソーシャルコーディングの流れを、GitやGitHubが加速しているといったことを吉岡さんは説明していました。なおスライドは次のURLに公開されています。
http://www.slideshare.net/hyoshiok/git-and-github-32697196
そして次のセッションは沢田さん(@cesaro)と太田さんによる「やってみようGitHub」というテーマに基づくものです。前のセッションの内容をうけて、実際にGitHubにアカウントを作り、プロジェクト上のファイルを更新してみようという実践的な内容です。この勉強会のために沢田さんがあらかじめGitHub上に作ったプロジェクトを、太田さんと沢田さんがリアルタイムに更新していきました。
具体的には、GitHub 上に用意されたエディタを使ってテキストを更新したり、ブランチ(枝のように分かれた別の文脈)を作ってみたりしました。そろそろ時間切れというところで会場から上がった要望は「プルリクエストを見てみたい」というもの。その気持ちわかります!
プルリクエストとは、吉岡さんのセッションでも説明された「すごいものができたらそれを本家に取り込んでもらう」ためのお願いです。実際には小さな変更でもなんでもいいんですが、本家の人にとって取り込むに足る変更だと信じるからこそお願いするわけです。なのでリクエストをする側にとってみれば「取り込んでもらえるかな」というドキドキがありますし、有名なプロジェクトに自分の変更が取り込まれれば大きな喜びになります。
なので「プルリクエスト」という響きには一種の憧れがあるのです。実際に太田さんがプルリクエストを送信し沢田さんが取り込むと、「初めてのプルリクエストおめでとうございます」「ありがとうございます」のようなやりとりがありました。なお、該当のプロジェクトのURLはこちらです。
https://github.com/cesare/github-nyan
最後のセッションは、塩谷さん(@kwappa)、ぼなみさん、太田さんによる「こんなこともできるよ!GitHub」というテーマに基づくものでした。
塩谷さんが所属するクックパッドでは、開発にGitHubを利用しています。GitHubを使う理由は、優れたコミュケーションツールだからとのこと。プログラマーだけでなく、デザイナーやユーザーサポートでもGitHubを利用しているんだそうです。
なるほどと思ったのは、文字だけでは誤解も生じるので、略語や絵文字や画像を積極的に使っているということ。たとえば「こういうのはどうですか?」という提案に対して「いいです」と返すような単純なやりとりの場合でも、いいですねというYES の返事にもとれるし、「いや、いいです」というNOの意味にもとれます。そういうときにたとえば「LGTM」と略語を使えば「Looks Good To Me(いいんじゃない、いいと思う)」ということが誤解の余地なく伝わります。また、例えばミスをしてしまったときに土下座画像を貼付けることで、重い空気を和らげるといった効果もあるそうです。
プレゼンテーションはこちらに上がっています。
https://speakerdeck.com/kwappa/lgtm-way-to-take-a-communication-on-github
そしてセッションの後は懇親会となりました。
参加者の吉田さんは、最近GitHub に「おれおれ勉強会カレンダー」というプロジェクトを作ったところ、プルリクエストをもらえてとても嬉しかったそうです。プルリクエストをもらうということは、自分のプロジェクトに注目してくれる人がいて、さらに手を動かして積極的に参加してくれているということですから、嬉しいことですよね。URLはこちらのようです。
https://github.com/yoshiko-pg/oreore_cal
また今回の勉強会を偶然見つけたGitHub社員の方も参加していました。その一人ジェームスさんは「こんなに大規模なGitHubの勉強会は見たことがなくて、とても感激しています。」と話していました。
最後に、主催の太田さんに話を伺いました。太田さんはこれまでも何回か勉強会を主催したことがあるそうです。
??どうして勉強会を主催されているんでしょうか?
「エンジニアを取材するような編集部にいるんですが、エンジニアってかっこいいと思います。だから自分も!と思って知りたいことを勉強会にしちゃう感じです。」
??勉強会をやる上で気をつけていることはありますか?
「特に何かに気をつけているということはないんです。こういうことを勉強したいなーと言うと、周りで手を挙げる人が出て来てくれて、みんなに助けられていつのまにか勉強会ができちゃうんです。
自分はたいして気をつけてない、周りの人に助けられる、というのは謙遜しているようですが、とても羨ましいことだと思います。太田さんの力になりたいと思う人が周りにいっぱいいるということですからね。「4月からは違う部署に移りますが、これからも変わらずエンジニアイベントに携わっていきます!」とのことでした。きっと楽しい発想の勉強会をやってくれることでしょう。
今回参加した勉強会:
みんなでGitHub勉強するにゃんっ!
http://atnd.org/events/48055
ライターとしてはニフティのデイリーポータルZとかで書いてます。
http://mitsuchi.net/