この世はすべて仮想かも?
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この世はすべて仮想かも?

2014.03.25

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この世が全部仮想環境だったら――
SFではよくある設定ですが、エンジニアにとっては意外と身近なだけに、現実世界で混乱することはありませんか?
宮田健

■ SF好きなら外せない映画「マトリックス」

みなさまは映画「マトリックス」をご覧になったでしょうか。1999年に公開されたSF作品で、もはや古典のレベルになりつつある名作です。
映像的にもたいへん興味深い技術が使われていますが、「我々の住む世界はコンピュータによって作られた仮想現実だ」という設定が実によくできていました。

この映画での世界は仮想現実によるシミュレーションですので、ヘリコプターを操作するにもそのスキルを「ロード」すれば一瞬で可能になります。人間離れした行動もプログラムをいじればとても簡単。登場するコンピュータ側の謎の存在も、よーく見てみるとウイルスだったりGoto文だったりWhile文なのかな? と考えると、とてもエンジニアに身近な映画だったりします。特に、黒猫が目の前を2回通る、デジャヴ現象が実はシミュレーション環境の「バグ」であり、仮想世界になんらかの異常が発生している兆候だとしたのは面白いと思いました。

過去にも漫画などで、この世界が実はシミュレーション上の存在であるとした作品はいくつかありました(「百億の昼と千億の夜」の印象が強いです)。
シミュレーションとはちょっと方向が違いますが、「夢の中」を多重的に描いた、クリストファー・ノーラン監督による映画「インセプション」も、設定自体が非常に面白く、初見時にグイグイと引き込まれた記憶があります。いまいる階層が果たして夢なのか、それとも現実なのかが分からないことが悲喜劇を生むというストーリー。まだ見ていないのならばぜひお勧めです。

このような作品群を見て以来、もしいま生きているこの世界が、どこかのコンピューターの中で計算した結果なのだとしたら、本当に面白いだろうなあと思います。そうだとしたら、物理法則や素数、円周率などが美しい結果をもたらしていることにも意味がありそうです。もしこの世界が仮想環境だとしたら、黒猫のデジャヴのような「シミュレーション環境である証拠」がどこかにあるのだろうと言われています。映画「インセプション」では「トーテム」と呼ばれる、自分だけが持っている、知っている「モノ」が、現実か夢かを区別するアイテムでした。それが証拠になるのですね。

■ もし「この世界はバーチャルだ!」と気付いたら

似たような話で、最近セキュリティ機器も“仮想環境”を活用しています。怪しいアプリケーションや添付ファイルが送信されたとき、まず仮想環境上で実際に実行シミュレーションを行い、安全かどうかをチェックするのです。サンドボックス環境などと呼ばれていますね。

しかし……さすがにサイバー犯罪者はよく考えていて、このような悪意あるプログラムにちゃんと「今動いているのが仮想環境かどうか」を判断する仕組みがあるそうです。もし今いる環境が仮想だと気づいたら動作を止め、安全なプログラムである振りをするそうです。悪意あるプログラムはちゃんと黒猫のデジャヴ、もしくはトーテムをチェックしているのです。

おそらく、サンドボックス環境の技術が進化していけば、悪意あるプログラムにも区別が付かないよう、仮想環境の改善が進んでいくのではないかと思います。そうすると、ネットの世界はより安全、安心になるでしょう。

でも、もしかしたら、その悪意あるプログラムが動いている仮想環境が、実は仮想環境上の仮想環境で、しかもその上にさらに仮想環境があるかもしれない……と思うと、現実がグラグラと揺れてくる感じがします。もしこのコラムを「仮想環境の管理者」が読んでいたとしたら、こっそりと抜け方を教えてくれるとうれしいですね。もしくは、パラメータをちょっとだけいじってスーパーヒーローにしてくれてもいいなあ。

原稿:宮田健(みやた たけし)
主にネットワークやセキュリティを中心とした、エンタープライズITに関する情報を追うフリーのライター。
IT以外にも旅行やエンターテイメントなども広くカバーし、趣味と仕事の境界をどこまであいまいにできるか挑戦中。
http://dpost.jp/about/

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