実は大きな問題?「BYOD」(Bring Your Own Device)とは
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実は大きな問題?「BYOD」
(Bring Your Own Device)とは

2014.03.11

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 ITに関する記事を読むと、最近はスマートフォンをはじめとするモバイルデバイスの話題が大変多いです。この記事をスマートフォンで読んでいるという方も多いでしょう。スマートフォンやタブレットの普及で、無視できなくなっているのが「BYOD」、Bring Your Own Deviceと呼ばれる仕組みです。(宮田 健

■ 「BYOD」の現状と課題とは

 BYOD、直訳すると「あなた自身のデバイスを持ち込む」といったところでしょうか。これは、広義には「企業がモバイルデバイスを配布するのではなく、個人が持っているモバイルデバイスを仕事でも使おう」というもので、企業からはデバイス配布の手間がなくなり、従業員からは2台持ちする必要がないので便利だ、という手法です。

 BYODを実現するには、いくつかの課題があります。例えば個人利用用途と仕事用途の分け方をどうするか。アドレス帳やカレンダーを共有すると、なにかの拍子に意図せず情報が流出してしまう可能性があります。そのため、アプリを分けるなどの徹底が必要です。

 次に考えられるのは、アクセスの方法です。主な利用用途はカレンダーやメールなどを手元のスマートフォンから見たい、ということになるでしょうが、クラウドサービスを利用していない場合、まず会社のネットワークに接続する必要があります。スマートフォンから安全に社内ネットワークに接続するため、VPN(Virtual Private Network)の仕組みを作らなければいけません。

 万が一スマートフォンを落とした場合、そこには会社の情報までが含まれることになります。そのため、企業としては紛失時に安全に遠隔地から「消去」しなくてはなりません。このとき、通常は会社の情報だけでなく、端末すべてを消去することになってしまいます。家族の写真やアドレス帳など、従業員個人が持つ大事な情報を消さずに、会社に関係する情報だけをきれいにロックしたり消去する仕組みがないと、BYODは成功しません。

 BYODにはさまざまな障壁があり、日本ではいまいち導入が進んでいないように見えます。事例を調べても、経営陣が強力なリーダーシップを取って導入した事例はありますが、ほとんどの企業が及び腰になっている、という印象です。

■ 「野良BYOD」は深く静かに進行中?

 でも、よく考えてみて下さい。この記事をスマートフォンで見ているあなたの企業で、社内にスマートフォンを持ち込みできないという企業はほとんどないのではないでしょうか。そして、会社の中で自分のスマートフォンで調べ物をしたり、仕事の電話を自分のスマートフォンからかけたりしていませんでしょうか。それはすでに「BYOD」なのです。実はBYODは、企業のトップが導入を望む、望まないにかかわらず、すでに行われているという現実があります。つまり、ほぼ全ての企業でなんらかのBYOD対策を打つ必要があるのです。

 狭義のBYODはすでに実施されていて、このように野放し状態になっていることがほとんどでしょう。これまでセキュリティに関する機能導入はある程度の評価、テスト期間を経て導入が行われてきましたが、スマートフォンは急激に普及したので、いつの間にか社内に存在する状態になっています。

 経営層、情報システム部はBYODの検討を行うよりも先に、いまできることをまず行う必要があるかもしれません。例えば、業務に関係する情報はクラウド上のサービスに置き、個人のモバイル端末には情報を残さない、という方法も考えられるでしょう。また、モバイルデバイスマネジメント(MDM)製品を導入しているのであれば、個人の端末も登録し管理が可能かどうかを確認し、丸ごと管理をするということも必要かもしれません。

 そして「スマートフォンに必ず暗証番号ロックを施す」といった、簡単でいますぐ実行できるポリシーを作り、徹底させることだけでもかまわないでしょう。

 BYODを最初に考えると、どうしても「行動を縛る」方向で考えがちです。多くの方がスマートフォンを使っている現状を考えると、メールやカレンダーなどは社内サーバからクラウドに移行し、自分のデバイスでいつでも、どこでも確認できるようにした方が便利な時代になりました。ただし、その活用には企業が個人のモバイル端末に対しても「安全」を考えなくてはならないのです。

 BYODを利用するには、これまでにも利用されてきた「モバイルデバイスマネジメント」「グループウェア」「VPN/リモートアクセス」「セキュリティ対策ソリューション」が正しく導入されていれば、その管理の範囲をちょっと広げてあげればいいといえるでしょう。BYODは、企業全体のセキュリティに問題がないかを見直すきっかけとなるのかもしれません。

原稿:宮田健(みやた たけし)
主にネットワークやセキュリティを中心とした、エンタープライズITに関する情報を追うフリーのライター。
IT以外にも旅行やエンターテイメントなども広くカバーし、趣味と仕事の境界をどこまであいまいにできるか挑戦中。
http://dpost.jp/about/

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