1キログラムってどのくらいの重さ?
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1キログラムってどのくらいの重さ?

2014.02.11

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身近なことが、意外と深いことってありますよね。
例えば「長さ」や「重さ」や「時間」。
今回は、身近すぎて当たり前な「単位」について調べてみました。(宮田 健

■ 意外と知らない「単位」のはなし

長さの単位、1メートルの「長さ」をご存じでしょうか。時間の単位、1秒ってどのくらいがご存じでしょうか。1メートルは「地球の子午線の赤道から北極までの長さの1000万分の1」、1秒は「地球の自転の周期の86400分の1」と即答できる人はそんなに多くないと思います。1メートルは「メートル原器の長さ」という答えもあるかもしれませんね。が、これらいずれもちょっと昔の定義。

産業技術総合研究所 計量標準総合センターによると、現在の1メートル、1秒の定義は下記の通りのようです。

・メートルの定義:メートルは、1秒の 299 792 458 分の 1 の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである

・秒の定義:秒は、セシウム 133 の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770 倍の継続時間である

(軽量標準総合センターより引用 https://www.nmij.jp/library/units/length/

では、重さ、正確には「質量」はどう定義されているのでしょうか。もともとは「一辺が10 cmの立方体の体積の、最大密度における蒸留水の質量」なのですが、その質量と同等の「国際キログラム原器」そのものが、1キログラムの定義となっています。実はいまだに、1889年に作られた、プラチナとイリジウムの合金で作られた金属塊そのものが、定義の礎になっているのです。

日本にも複製された国際キログラム原器が存在しており、つくばの産業技術総合研究所に厳重に保管されています。なんでも、原器自体を直接相対して見ることはできず、限られた方でも鏡ごしでしか見られないとのこと。これは原器に直接触れたりものをぶつけられるなどして、破壊されることを防ぐためだとか。

■ 「もの」であることの限界

この国際キログラム原器、複製されて世界中に配布されています。これらの原器は定期的にフランスに運ばれ、特殊なてんびんで重さを比較、1キログラムが1キログラムなのかどうかをチェックしています。もちろん、ものである以上、空気に触れることなどで重量が変化してしまいます。が、これはそのものが「1キログラム」であるため、質量の変化は本来許されません。

そこでいま、日本の技術によりキログラムの定義をものに頼らない、普遍的な数値に置き換える作業を進めています。具体的にはケイ素(Si)の原子を一定個数集まったものを1キログラムとする、というものです。国際キログラム原器は10のマイナス8乗、つまり0.00000001キログラムの精度で判断しています。これを超える精度が出せれば、国際キログラム原器に寄らない定義が可能になります。直径94ミリ程度のケイ素の「真球」、それが120年間変化のなかった「1キログラム」になるかもしれません。

新たなキログラムの定義は現在も研究が進んでいます。10センチ四方の蒸留水の質量は、アボガドロ定数など化学で学んだ単位や、原子レベルで測定するナノテクノロジーの技術で再定義されるというのはなかなか興味深い動きだと思います。
国際キログラム原器の複製は、東京・上野にある国立科学博物館にもひっそりと展示されています。身近な「単位」も研究によって大きく変化しつつあると知れば、無機質な金属のかたまりにも愛着が持てるかもしれませんね。

参考:
普遍的な物理定数に基づく新しいキログラムの再定義に道を拓く
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120227/nr20120227.html

原稿:宮田健(みやた たけし)
主にネットワークやセキュリティを中心とした、エンタープライズITに関する情報を追うフリーのライター。
IT以外にも旅行やエンターテイメントなども広くカバーし、趣味と仕事の境界をどこまであいまいにできるか挑戦中。
http://dpost.jp/about/

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